最新マンハッタン投資用一棟物件市場動向≪2025年2Q≫
2025年第2四半期、ニューヨーク市のMultifamily市場は緩やかな成長を見せ、取引件数はわずかに減少したものの、取引総額では前四半期比で11%増加しました。2023年以降の平均と比べると、件数は4%、金額は10%増となっています。中でも家賃の上昇が制限されているレントスタビライズド(Rent Stabilized)物件への投資が目立っています。2019年6月に大規模改正された住宅安定・テナント保護法(HSTPA)やコスト増、借換え困難に苦しむ現オーナーの売却により、割安での取得を狙う動きが活発化しています。HSTPAは改修費や空室後の賃料の引き上げに対する上限を厳しく制限したり、レントスタビライズドから自由に賃料設定ができるフリーマーケット化をすることを認めておらず、オーナーにとっては建物の改修にかかった費用を家賃に反映することが難しくなっています。収益性が下がったことで不動産評価額が下がり、借り換えや売却が困難になっているため、売却をしなければならない場合、割安での売却を余儀なくされています。このような物件に投資する投資家は、将来的に規制が緩和される事を期待し、緩和された際に収益性が上がることを期待しての購入しますが、規制が近々緩和されるような動きはなく、やや楽観的な中長期を見据えた動きとなっています。また2025年11月4日にはニューヨーク市長選が予定されており、民主的社会主義者を自称し、更なる規制強化を訴える民主党のマムダニ議員が民主党予備選で勝利したことで、政策の方向性に不安が広がっています。現職のアダムズ市長に加え、元州知事クオモ氏とマムダニ氏が市長選に出馬予定ですが、選挙の結果によっては更なる規制強化の可能性があることを念頭に置く必要があります。
参考:Avison Young, Alpha Realty