最新マンハッタンコンド不動産売買/賃貸市場動向≪2025年1Q≫
2025年第1四半期は昨年同期比、中間価格は+10.8%、成約件数は+10.2%と活発な動きを示しました。この背景には米国株市場の好調を受けてニューヨーク金融街の利益と平均ボーナスが過去最高を記録したため高額物件を中心に金融で働くキャッシュバイヤーが多かったことが挙げられ、マンハッタンの現金購入率は通常の50%から66%にまで増加しました。一方、ファーストタイムバイヤーは金利高止まりとトランプ政権下の景気先行き不透明感の影響で購入に動かず賃貸にとどまったため、高額物件以外の市場は買い手市場が続いており、賃貸物件の空室率は2.4%と低く賃貸市場は堅調に推移しました。
2025年第2四半期はトランプ政権の関税政策の発表を受けて株価が大幅に下落し、景気不透明感をさらに強める波乱の幕開けとなりました。明るいニュースとしては、マンハッタンのオフィス市場が回復基調で、特に金融、法律、不動産関連の企業によるオフィス需要が高まり、最上級クラスビルの供給不足が進む一方で、企業の対面勤務回帰の動きも続いているため、オフィスビルの活発化を受けて今後は住宅需要の高まりを期待できる点が挙げられます。過去の例を振り返ってもリーマンショックの際には、オフィス市場回復の1~2年遅れで住宅市場が力強く回復しています。今後の金利の動向も気になるところですが、直近での大幅な住宅金利の低下は期待できそうにない一方で、ここしばらく続いた6%台後半の金利に買い手が慣れつつある状況も見られます。供給面では、このたびの関税政策で建築資材など住宅建築コストが高騰し、移民政策の厳格化により労働力不足も発生するため、新築住宅の供給が鈍化する可能性がありますが、マンハッタンの新築物件は全体の約10%に過ぎないためその影響は限定的と思います。
今後の住宅市場を予測するには不確定要素が多く難しい状況ですが、歴史的に見てもニューヨークの不動産は長期的な成長を続けています。先行き不透明な市場においても金融・法務関連の勤務者が求める利便性の高いエリア、高品質な新築・改装済み物件は引き続き安定的な価値を維持していくと考えます。
【マンハッタン売買市場】
【マンハッタン賃貸市場】
出典:売買/賃貸市場のグラフはともにOLRからデータ引用。
補足資料【金利・米国債・為替点の推移】出典:住宅ローン金利についてはFRED, ドル円為替については、三菱UFJリサーチ&コンサルティングよりデータ引用。