◆お役立ち情報◆ アメリカへの移住:知っておきたい税制と手続きのポイント

アメリカへの移住を考える背景には、ビジネスの展開や子供の教育などさまざまな理由があるでしょう。しかし、税制において移住がメリットになることをご存じでしょうか。日本とアメリカの両国とも累進課税制を採用していますが、同じ収入水準であれば、アメリカの方が比較的納税額が少ない傾向にあります。

メリット:夫婦合算での税務申告
アメリカには「Married Joint Filing」と呼ばれる夫婦合算での税務申告制度があります。これにより、税控除枠が広がると同時に低税率のタックスブラケットに組み込まれる可能性が高まります。結果として、税負担が軽減されるわけです。

注意点①日本所得税と出国税
アメリカに移住したとしても、日本の不動産賃貸収入などの日本国内の所得には、引き続き日本の所得税が課されます。加えて、2015年7月に導入された「国外転出時課税制度」(通称:出国税)にも注意が必要です。この制度では、1億円以上の有価証券等の対象資産を所有している日本居住者が国外転出する際、その含み益に対して15.315%(復興特別所得税を含む)の所得税が発生します。

注意点②対象資産の贈与や相続について
また、国外転出時課税は、出国者本人だけでなく、その対象資産を非居住者に贈与や相続した場合も対象となります。従って、海外に居住する相続人等がいる場合は、計画的な資産移転を考える必要があります。

注意点③米国の情報開示義務
アメリカの居住者となると、「FBAR(Foreign Bank and Financial Accounts Report)」の提出が義務付けられます。これは、年内に一度でも米国外の金融資産が1万ドルを超えた場合に適用され、米国外の金融口座等を財務省に報告する義務があります。さらに、日本に法人を所有している場合は、Form 5471を使用した情報開示が必要です。これを怠ると罰金が課される可能性があるため、十分な注意が求められます。

注意点④プランニングの重要性
複数の国に資産を保有していたり、家族の居住地が異なる場合など、国際的な税務問題が複雑になるケースでは、事前の計画と詳細なシナリオの理解が非常に重要です。

アメリカへの移住、そしてアメリカからの逆移住を考えている方は、早めに専門家に相談し、最善のプランを立てることをお勧めします。税務上の検討をしっかりした上で不測の問題を避けるために、移住に関わるすべての要素を詳しく検討することが成功への鍵となります。ぜひご相談をお待ちしております。また弊社は昨年5月にハワイ事務所を開業いたしました。アメリカ移住全般から、ハワイに関する税務上のご相談等幅広いご相談内容に対応させていただきます。ご連絡お待ち申し上げております。

著者 Yamada &Partners USA President/税理士 平 秀一
President/税理士
企業オーナーの一番の悩みである事業継承、M&Aといった企業の承継から相続対策などの個人の円滑な財産を承継等多岐にわたるアドバイスを得意としている。最近では、財産を国外に持っている方の国際相続なども対応している。2020年よりアメリカ地域担当。

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