◆お役立ち情報◆米国不動産投資にかかる税務豆知識~初級編~

◆お役立ち情報◆米国不動産投資にかかる税務豆知識~初級編~
皆様こんにちは。このシリーズでは、米国不動産(賃貸物件)に投資する日本の皆様の税務について解説します。前回までは、個人投資家が米国不動産を保有した場合の税務の取扱いについて解説しましたが、今回からは法人投資家が保有する場合について、日本の税金の種類や減価償却の考え方を中心にご紹介します。

① 法人にまつわる税の種類とおおよその税率
法人が海外不動産を取得し、そこから賃貸収入を得る場合、日本では以下の3種類の税金が課されます。
-法人税(国税)
-法人住民税(地方税)
-法人事業税(地方税)
これらの税率を合わせたものが「法定実効税率」と呼ばれ、一般的な中小法人ではおおよそ34%の税率となります。個人の場合、所得の大きさによって最大56%程度の税率が適用される可能性があるため、法人の方が予測可能な税負担として計画が立てやすいという特徴があります。また、米国など不動産所在地国においても、固定資産税(Property Tax)が課税されます。これはその国の地方自治体に支払う税金ですが、日本の法人税法上は「租税公課」として必要経費に含めることが可能です。

② 減価償却
不動産のうち、建物に相当する部分については、毎年の費用として「減価償却費」を計上することができます。基本的な考え方は個人と同じですが、法人で保有する場合には次のような特徴があります。
<減価償却方法>
「建物」や「建物附属設備」の減価償却方法については、個人のケースと同じく、定額法が適用されます。(第3回参照)しかし、「機械装置、車両、器具備品など」については、個人のケースと異なり、原則として定率法が適用されます。(届出により定額法を採用することも可能)初年度近くの事業年度では、一般的に定率法の方が定額法よりもより多くの減価償却費を計上することができますので、「機械装置、車両、器具備品など」については、定率法を適用することで、早期償却を見込むことができます。
<見積耐用年数の算定方法と損益通算>
取得した資産の種類、用途、構造によって、個人と同じ法定耐用年数が定められています。 中古資産を取得した場合の見積耐用年数算定方法も、個人と同じですが(下記参照)、国外中古建物の簡便法による見積耐用年数(例えば4年)に基づく減価償却費によって生じた不動産所得の損失(赤字)については、現行の法人税法では他の所得との損益通算(相殺)に制限がありません。(第4回参照

<参考>簡便法による見積耐用年数の算定方法は、次のとおりです。
1 法定耐用年数の全部を経過した資産
見積耐用年数=法定耐用年数✕20%
2 法定耐用年数の一部を経過した資産
見積耐用年数=(法定耐用年数―既経過年数)+(法定耐用年数✕20%)

著者 アクタス税理士法人 公認会計士・税理士 千葉哲範

日本公認会計士協会・租税調査会・国際租税専門委員会委員、日本税理士会連合会理事、東京税理士会常務理事、インテグラ・インターナショナル理事を現在、務める。企業法学修士(筑波大学)、米国税務修士号(Walsh College)を所持。これまで国内系および外資系企業への税務サービス、ベンチャー・キャピタルへのアドバイス、ベンチャー企業への株式公開コンサルティングなどに従事。クライアントに対して痒いところに手が届くサービスを提供することが信条。また、事務所運営では優秀なプロフェッショナルを育てる職場づくり、魅力ある組織づくりを絶えず追求している。

一覧へ戻る


Warning: Uninitialized string offset 0 in /home/redac/redacinc.com/public_html/www.investment.redacinc.com/cms_U7nXQstH/wp-includes/class-wp-query.php on line 3863