最新マンハッタンコンド不動産売買/賃貸市場動向≪2024年3Q≫

日本から米国に不動産投資を考えておられる皆さまにとって米国不動産市場の投資環境は2024年第3四半期、市場に大きな変化を起こす可能性がある3つの要因が動き始めました。即ちその要因は、1.政策金利の利下げ2.為替の変動3.仲介手数料ルールの変更の要因が挙げられ、これらの与える影響を順に見ていきましょう。

1.【政策金利の利下げ】
9月中旬、FRB(連邦準備制度理事会)は4年半ぶりに政策金利を0.5%引き下げが発表されました。これと連動して住宅ローンの金利低下がほぼ確実に起こることが予測されます。その影響としては、以前よりも住宅が買いやすくなるためファーストタイムバイヤーが増加するとともに、今まで住宅の買い替えを控えていた方々も買い替え後の住宅コストが下がるため実需としての購入の波が動き出すと考えます。又、投資家も仕入れコスト低下が利回り向上につながるため投資活動が活発化します。結果的に市場全体では、全体的に購入需要が高まり住宅価格の上昇につながりやすい環境となります。短期的には10月末現在いったん下がった住宅ローン金利はやや上昇に転じる動きが見られていますが、政策金利の引き下げは今後も2026年まで段階的に行われると予測されており、それと連動して住宅ローン金利も下落し、住宅市場活発化を促す大きな要因になると考えます。
2.【為替の変動】
記録的な円安を打ち出した2024年7月でしたが、9月に入ると、為替が1ドル=160円から1ドル=140円となり、大幅な円高ドル安が進みました。その後は円安に戻して10月末現在150円台前半で推移しています。最近は法人名義で一棟ビルをご購入されるお客様が増えていますが、たとえば$10Mの物件を購入されるのに必要な資金はこの2か月で16億円から14億円、そして現在は15億円となり、たった3か月で同じ物件を約1億円~2億安く買えるタイミングが訪れたことになります。今後も為替の動きは一概には予測はできませんが、日米での政治の行方、政策金利の方向性など、第4四半期から来年に向けては今後の為替相場を大きく揺るがす要因が控えています。タイミング次第で有利に米国不動産を仕込めるチャンスをつかむためには、普段から希望物件の絞り込みなどの準備をしておくことが望まれます。
3.【仲介手数料ルールの変更】
全米不動産協会の決定で今年の8月より住宅不動産の売買取引において不動産手数料のルールが変わりました。これまでは売主が手数料を支払い、それを売主側・買主側エージェントが折半するのが商習慣でしたが、今後は売主は売主側エージェントのみに手数料を支払う形を選べるようになったため、売主が買主エージェントに手数料を支払わない物件を購入する際には買主が手数料を支払うことになります。今のところは従来どおり売主が手数料を支払うケースが大半ですが、将来的には買主が手数料を支払うケースは徐々に増えてくる動きが予測されます。手数料支払いのルールは国により違いますが、買主に手数料を請求することが認められている日本、イギリス、フランス、ドイツ、シンガポールなどと比べて、米国はこれまで買主には手数料がかからず、世界的に見るとある意味、特殊な市場だったと言えます。

足もとではこれら3要素が市場に先行き不透明感をもたらし静かな市場となっていますが、一方、日本からの投資家の皆さまにとっては、最大要因である為替のタイミング次第では2024年後半から2025年前半、将来的に起こりうる住宅価格上昇や買主手数料負担が起きる前に物件を仕込める好機ととらえることができます。

【マンハッタン売買市場】
2024年第3四半期は昨年同期に比べ、成約件数は-10%、在庫件数は-4%、価格は+3%で推移しました。大統領選挙の年は選挙の結果が出るまでは様子見の傾向が見られますが、今年も同様の傾向がみられる一方で、金利の引き下げを見越して小ぶりの物件から動き始めている傾向もみられ始めています。大統領選挙が終わり、金利の更なる引き下げが起こりますと、2025年前半から市場は活発化していくと予想されます。
【マンハッタン賃貸市場】
2024年第3四半期の賃貸市場は昨年同期に比べ、成約件数は+8.9%、在庫件数は-1%、賃料は-1.5%で安定に推移し、賃料は高止まりの状況です。コロナ禍以降、需給バランスの変化でしばらくはアップダウンの激しい動きがみられましたが、2023年1月以降は需給のバランスがとれ、安定した動きがみられています。
出典:売買/賃貸市場のグラフはともにOLRからデータ引用。


補足資料【金利・米国債・為替点の推移】出典:住宅ローン金利についてはFRED, ドル円為替については、三菱UFJリサーチ&コンサルティングよりデータ引用。

 

 

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