◆お役立ち情報◆ アメリカに住む家族への贈与について
1.はじめに
アメリカに住む家族に不動産を買ってあげたい、ビジネスにお金を出してあげたい等、日本に住む両親からアメリカの家族に贈与したいというご相談が多くあります。このような経済的な援助をするためには、日本とアメリカ双方の税制を検討する必要があります。今回は日本居住の親から米国居住のお子様等に経済的な援助をする場合に気を付けなければならない点を海外送金と不動産贈与の2つに整理して解説します。
2. 日本からアメリカに海外送金をする場合
①. 日本(贈与税)
日本に住む親からの贈与は、財産を受取る方がどこの国に住んでいても日本の贈与税を検討する必要があります。資金援助が扶養義務者から生活費や教育費を目的として通常必要と認められる範囲であれば贈与税はかかりませんが、ビジネスや不動産の購入のため等であれば原則贈与税の対象となります。
②. 米国(贈与税・情報開示)
日本に住む親から日本の銀行口座から海外送金をする場合には、米国財産の贈与には該当せずアメリカの贈与税は課税されません。一方で、財産をもらう米国居住のご家族は、その金額が$100,000を超える場合には財産を受け取ったことを米国税務当局(IRS)に報告する義務があります。
3. すでに保有しているアメリカ不動産を子供に贈与する場合
①. 日本(贈与税)
上記と同様に日本の贈与税を検討する必要があります。アメリカで贈与税の納税が生じる場合には適切に二重課税を排除するため、外国税額控除の適用を行う必要があります。
②. 米国(贈与税・情報開示)
日本に住む両親から米国不動産を贈与する場合には、米国財産の贈与に該当しアメリカの贈与税が課税されます。また州によっては別途州税を設けている場合や、固定資産税の引き上げが行われる場合もあり注意が必要です。併せて、財産をもらう米国居住のご家族は、その金額が$100,000を超える場合には財産を受け取ったことを米国税務当局(IRS)に報告する義務があります。
4. おわりに
アメリカに住むご家族に贈与を検討される場合には、日本とアメリカそれぞれの税制を考える必要があります。特にアメリカではペナルティが重い義務が生じる場合があります。もし日米に跨る取引を行う場合には、両国の税務に精通している専門家にご相談されることをお勧めいたします。
著者 Yamada &Partners USA President/税理士 平 秀一
President/税理士
企業オーナーの一番の悩みである事業継承、M&Aといった企業の承継から相続対策などの個人の円滑な財産を承継等多岐にわたるアドバイスを得意としている。最近では、財産を国外に持っている方の国際相続なども対応している。2020年よりアメリカ地域担当。